【レポ】クローズアップ東北「子どものSOSをつかめ」いじめ対策




こんにちは、ちゃママです。

2017年6月30日放送のクローズアップ東北「子どものSOSをつかめ“いじめ自殺”をくいとめるために」を観ました。

また悲しい事件が起こらないで欲しいという願いと、最前線の取り組みが早く全国に広がることを願って、レポを書きたいと思います。


【キャスター】NHK仙台放送局アナウンサー…真下貴
【ゲスト】教育評論家…尾木直樹


尾木さん
「いま、いじめで苦しんでいるみなさん。本当につらいと思いますけれども、必ず自分の気持ちをわかってくれる人はいます

だから、死なないでくださいね

お母さんがた、『あなたのことは絶対に守るよ』と言い切ってください。
そして、無理して学校に行かせないということも、重要な選択肢の一つだと思います」


真下さん
「東北では、いじめを受けた子どもが自殺に追い込まれるケースが相次いでいます。子どもたちのSOSをどうつかめばいいのかを考えていきます」

目次

東北で相次ぐ深刻ないじめ

真下さん
「番組にいただいた声の中にも、いじめを受けて大人に相談したという声は少なくありません。
しかし、取材を進めて行くと、こうした厳しい深刻な状況に置かれている子どもたちが、どれくらい深刻なのかを、大人が的確に把握するのは難しいという課題が見えてきました」

青森県のケース

去年8月、当時中学2年の葛西りまさんが、自ら命をたちました。
りまさんのスマートフォンには、亡くなる当日の朝に書かれた遺書が残されていました。
そこには、いじめによる耐えがたい苦しみが綴られていました。


亡くなる一年ほど前、両親はりまさんから「同級生に無視や悪口といった嫌がらせを受けている」と相談されました。


心配した両親はすぐに学校に連絡。
教師が関わった生徒に厳しく注意すると、嫌がらせは収まったかのようにみえました。


ところがその後、大人からは見えにくいネットの世界で、嫌がらせはエスカレートしていきました。
りまさんが亡くなったあと、残されたスマートフォンから、その実態が明らかになりました。




りまさんは被害を訴えるために、画面を大量に保存していたのです。


りまさんは、ネット上で昼夜を問わず、複数の同級生からいじめを受け続けていました。
さらに、りまさんをおとしめる根拠のない噂までネットで拡散。


りまさんは追い詰められていきました。


りまさんが家族に打ち明けてくれた話は、ごく一部
残されていた画面を見て初めて、これほど深刻だったと知りました。




りまさんの父 葛西剛さん
「LINEはトーク削除ができる。言うだけ言って、大人に見られる前に削除する。
SNSのいじめに関しては、本人でなければわからないことだらけで、親が知る部分はほんの一部に過ぎない。

これは言い訳にしか過ぎないですけど、命を絶つほど悩んでいたとわかっていれば、当然それを食い止めただろうし。
その部分だけが悔しくて、なぜ気づいてあげられなかったんだろうと」


りまさんが亡くなった翌年、青森市教育委員会が設置した審議会は、いじめがあったことを認定しつつも、りまさんは「思春期うつ」だったという見解を示しました。


剛さんは、このままではいじめの真相が明らかにされないのではないかと危機感を募らせています。

「二度といじめによる悲劇が起こって欲しくない」

りまさんの家族の願いです。

岩手県のケース

子どもから直接教師に苦しみを伝えていたにも関わらず、対応に結びつかなかったケースもあります。


岩手県矢巾町。
おととし、いじめを受けていた中学2年の生徒が自ら命を絶ちました。


生徒が自殺した翌年、第三者委員会がまとめた報告書。


生徒は「死にたい」などの言葉を担任への生活記録ノートに書きこんでいました。
しかし、担任が生徒を呼んで話を聞くと、生徒は「大丈夫」と答えました。
教師はそれほど深刻な状況ではないと考え、それ以上の対応はしませんでした。


矢巾町教育委員会教育長 和田修さん
「担任の先生が十分に生徒とコンタクトをとり、信頼関係があると思っていたんだと思う。
それ(教師の認識)以上のことを生徒が感じていたのかもしれないし、ストレスをもっともっと感じていたのかもしれない。
そこを思いはかることが足りなかったのかもしれない。
今までの自分の経験値だけで(子どもの状況を)判断すると、間違う場合がある」


男子生徒の自殺の翌年。

町内のすべての小中学校で、月に一回、教師を中心にいじめ問題の会議を開くことになりました。


深刻な事態が起こっていないか、子どもの言動を複数の目で確認します。
いじめを見つけた場合、教育委員会とともに解決に向けて動き、その後の経過を見守ります。


この取り組みによって、いじめの認知件数が、始める前と比べておよそ1.8倍に増加しました。




和田さん
「まだまだ十分ではない。これで完成ではないし、担任1人が判断するのではなく、それ以外のいろいろな人たちが関わることでアドバイスして、こういう見方もあるよということで、担任がより生徒を見る能力が身につくと思う」


<スタジオ>

真下さん
子どもたちが発するSOS、サインを大人がいかにきちんと受け止めるかだと思いますが、聞き方というのはありますか?」

尾木さん
「いまのケースにもありましたが、『大丈夫?』という言葉は絶対に使うべきではない
『大丈夫?』というのは、大人同士でも条件反射で大丈夫だと言ってしまうもの。

まず最初の入り口として『学校はどう?』という聞き方をする。
すると、部活のことや授業のことを話すのであれば、いじめはないという判断ができるかもしれない。

もう少し深くトラブルのことを聞きたいときは『〇〇さんとの関係はどうなった?』という聞き方をする。
”もう今は大丈夫”となるか、”まだいろいろある”となるか」

真下さん
「ここでも『大丈夫?』という言葉は使ってはいけない?」

尾木さん
『大丈夫』は使ってはダメ。ほとんど100%近く『大丈夫』だと言う。
もう一つは、もっと具体的に『嫌なことが何回くらいになった?』『何回くらいに減った?』という言い方をする」

真下さん
「嫌なことがあったか、なかったかではなく?」

尾木さん
あるということを前提にする
そうすると、全くないときには『ない』と言うし、『1日に1~2回かな』とか『週に2~3回になりました』とか具体的に言ってくるから、はっきりわかる」

真下さん
「『いじめられてないの?』とは聞かないのですか?」

尾木さん
いじめという言葉は、使わないほうがいい
とくに男子の場合は『親に心配かけたくない』『いじめられているというのは、自分は弱い子だというふうに思われている』『弱い子だと認めることになる』と思う雰囲気が残っている。

だからプライドの高い男子はなかなか自分から言いにくい。女子でも言えない子はたくさんいる。

いじめという言葉よりも『嫌なこと』とか『困っていること』とか抽象的な言葉を使ったほうが、子どもは言いやすいと思う」


真下さんが視聴者からのメッセージを紹介。


真下さん
「娘さんがいじめられているという40代の方。
『教育委員会にも相談しましたが、いじめは、娘さんが自ら乗り越えて行かなければいけないこと。先を見て、あのときいじめられた経験が将来役に立つことを考えてほしいと言われました』

尾木さん
「これはひどい。ほんとかな?と思うほどひどい。いじめを乗り越えて行けることは、被害者にとってほとんどないです。
そしてそれが将来役に立つなんていうことはないです。耐えるものではない

学校として取り組まなければいけないことは、いじめというものに軽いものはない。「いじめに軽症はない」という言い方をするが、職員会議や部活動よりも最優先で取り組まなければいけない課題。

いじめの予兆があったら、すぐに毅然とした態度ですぐ取り組むことが必要

真下さん
「娘さんが中1の時にいじめられたという青森の50代の方。
『2カ月前から娘の様子が変だと思っていましたが、プライドの高い娘なので学校を休むことはなかったし、親にはいじめの話をひと言も言いませんでした』

自分自身がいじめられた経験があるという50代の宮城の方。
『1人で悩み考えました。親には絶対に言いたくなかったです。なぜならば、心配かけたくない、悲しい気持ちにさせたくなかったから』

尾木さん
「ほとんどの子が親に心配かけたくないという気持ちを持っている。
でもそういう問題ではなくて、いじめは人間への虐待なのであって、訴えないといけない
必ず親はわかってくれるし、誰かわかってくれる大人は学校以外にもいる。あきらめないで声を発して欲しい

真下さん
「小学5年生のときにいじめられていたという20代の方。
『こんな私でも支えてくれる人はいます。思いこまないで話す勇気も必要です。聞いて分かってくれる人はきっといます』

尾木さん
「本当にそのとおり。聞いて分かってくれる人は必ずいます。身の回りだけ見ているといないように見えるが、発信できる場所はいっぱいある

真下さん
「去年の9月から娘さんが同級生からいじめられているという宮城の40代の方。
『いじめた子どもの家族は、毎日命を絶たれるのではないかという恐怖に怯えながら生きている私たちの気持ちはわからないと思います。自死を防ぐため、家中のドアに鈴をつけ、娘の手と私の手を布で結んで床に入っています』

尾木さん
「これはすさまじいですね。本当に心配です。
すぐに登校をストップしないといけないし、ストップさせていじめがなくなるような状況を学校が作れるまでは、登校させないと宣言するべき。

必ず”お母さんが守るから大丈夫だよ”と言う。

そういう事例もたくさんある。地元が当てにならないと思われたら、全国組織もたくさんあるのでぜひ声を出してほしいと思う」

真下さん
「尾木さんに相談したいという小学6年生の息子さんをもつお母さん。
『うちの息子と仲良くしている子どもにわざわざ”あいつと仲良くするとみんなで無視するぞ”と脅し、お友達が息子と遊べないようにする。
休み時間に一人でいると決意しても、わざわざ来て笑う。
わたしがいま、そして今後、息子にしてやれることは何でしょうか。
転校させることもできる、中学校区を変えることもできると言っておりますが、息子はこのままみんなと同じ中学校が良いと言います。心配で胸がはりさけそうです』

尾木さん
「息子さんがみんなと一緒がいいという気持ちはものすごくわかる。だからそれが高じてしまって、いじめられてでも同じ学校にいたいという子もいる。

これは何度も言うが、虐待を受けているわけで、どんどん心がズタズタになっていきますから、それはやめた方が良い。

すぐに登校をストップする。転校するのも一案。
小学校6年生ぐらいの男子の場合は、うまくいくんじゃないかなと思う。
これまで多く見てきたが、転校してまたこじれたというケースは非常に少ない

真下さん
「転校してまた新しい環境で、新しいお友達ができる」

尾木さん
「内に内に入り込んでいくようないじめの形態は、ガラッと変えればなんでもなくなる。
いじめられる子には何の問題点も非もない

いじめている子が100%悪い

我慢してはいけない。我慢して強くなるようなものはない。人間はすぐ破壊されます。

加害者も自分がこんなことをやっていれば、どんどんおかしな人間になっていく。
だから加害者にとってもすぐにストップしなければいけない」


真下さん
「内閣府が行った調査がある。子どもに『どこが自分の居場所だと感じますか』と聞いたところ、『インターネット空間に居場所を感じる』と答えた子どもが6割を超えることがわかりました。

ネットいじめも深刻な中で、”ネットを見ないようにすればいいんじゃないか”と親は思うが、それでは解決しないということ。

では、ネットいじめをいかに早期に見つけて対策をとるか、今さまざまな取り組みが始まっています」

子どものSOSをつかむ対策の最前線

千葉県柏市の取り組み

<VTR>
先月から新たないじめ対策に乗り出した、千葉県柏市。

市内の公立中学校で始まったいじめ対策の授業

『いじめには被害者・加害者だけでなく、いじめを見ている”観衆”や”傍観者”と言われる人がいます』と、スクリーンを見る生徒たち。


いじめを見たら、すぐにその実態を報告して欲しいと伝えています。


柏市教育委員会 宮武孝之さん
子どもたちはラインのグループとかタイムラインとかを見ています(いじめを)見た子たちが通報できる形にしたいと思っています」


しかし、いじめを見たときに声を上げることができるかと尋ねると、いじめを止めようとしたり、学校に報告したりすると、仕返しが怖いという意見。


そこで市が導入したのが、いじめを匿名で報告できるアプリです。

まず、生徒にそれぞれダウンロードしてもらいます。

目撃したいじめの内容をコメントできるだけでなく、ネット上に書き込まれた画像を撮影し、送ることもできます。

もちろん、いじめられている当事者も直接相談できます。

名前は明かされず、学校名と学年だけが伝わる仕組みで、いじめを報告するハードルを下げようという狙いです。


生徒が報告した内容は、柏市教育委員会に届きます。

いじめの深刻さなどを的確に把握するため、必ず6人の職員で確認。

ひと月当たりですでに20件以上の報告が上がっています。

緊急度に応じて、専門のチームを立ち上げるなど、学校と連携しながら即座に対応することにしています。


宮武さん
「匿名で(通報が)できるので、自分の家に帰ってクラスの様子を反省したときに、自分だけでも変えたいという思いのお手伝いができればいい。早期発見、早期対応が最も大事だと考えている」

家庭でできる取り組み

教育現場だけでなく、家庭で早期に発見しようという取り組みもあります。




子どもの携帯電話にSNSのメッセージで「死ね」「キモい」など誹謗中傷の言葉が届くと、親にそのキーワードが通知される仕組みです。

同時に、子どもが使うネット上の隠語の意味も教えてくれます。

例えば、「米」と「白」と書かれた隠語。

人を侮辱する「カス」を意味して使われていると、解説がついてきます。

親のネットへの理解を助け、子どもの危機にすばやく気づけるようにしています。


アプリを開発したIT企業社長 西谷雅史さん
「保護者の方がインターネットやスマートフォンはよくわからないという考えで、お子さま任せになってしまう。
子どもが(親に)相談しても意味がないと思うのではなく、しっかり状況を把握している保護者にだったら話す意味があると捉えてもらえるような、情報共有の仕組みを目指している」


<スタジオ>

真下さん
「大人が、ネットの世界を知らない、わからないというのではなくて、できるだけ見ているんだよというメッセージを出すことも大事ですね。
柏市の例は、子どもたちが親しんでいるスマホだからこそ、それをうまく活用する」

尾木さん
「基本的に”いじめとは何だろう”とか、”どうして傍観者は言うことができないんだろう”という学習はすごく大事。早期発見、早期対応というのは非常に重要。

さらに欲を言えば、”子どもたちは見ているからわかっている”と言っていた。でも教師はわかりません

子どもが主役になっていじめ克服に取り組み始めると、ガラッと変わる。そういう学校も全国に出始めてきた。

足立区の辰沼小学校では、辰沼キッズレスキュー隊という、子どもたちが子どもたちを救うというレスキュー隊を作った。

やる気のある子だけが加盟し、全校の約半数以上が入っていて非常に意識が高い

20人ぐらいずつのグループに分かれて、毎日お昼休みに「いじめない、いじめを見逃さない」などのスローガンを言いながら練り歩く。

この学校では、友だちが嫌な思いをしているというと、すぐに怖がらないで『やめたほうがいいよ』と言える。

1つの文化ができていて、楽しい学校になればいいと、けん玉や二重跳び、一発芸大会などいろいろなことをやっている」

真下さん
「誰かが何かで活躍できる場がある」

尾木さん
「そう、そして楽しければいじめは起きないだろうと。いじめは基本的にストレスの中で起きてくる

真下さん
「子どもたち同士が意識する、楽しい学校生活を送るというのが基本だということですね」

尾木さん
いじめに批判的な子どもたちが多数派になるということ」

真下さん
「いじめている子たちが少数派になればいいということですね」

尾木さん
「言われたらすぐに『ごめん、そういうつもりじゃなかったけど』と言えば、すぐ仲良くなれる」


真下さんが視聴者からのメッセージを紹介。


真下さん
「今いじめてしまっている人へのメッセージ。40代の女性。

『やるほうは複数でやるから、罪の意識が人数のせいで薄れてしまうんだよ。だから、みんな自分が悪いとは思わない。でも、やられるほうは何人もの悪意を1人だけで受けているんだよ。君だったら耐えられる?』

保護者の方へのメッセージ。宮城の50代の女性の方。

『行けない場所に無理に出してやることもないし、”ここがあなたの居場所だよ”、”安心していいよ”と受け止めて味方になってあげられたら、それだけでもその子に安らぎを与えられるのではないでしょうか』

そして今いじめられている人へ。この方もいじめにあっていたという方。

『担任の教師はいじめられている私を見ても、注意することもなく、逆にいじめられている私が悪いと言われる始末でした。今いじめられている子どもたちには、声を大にして言いたい。学校なんか行かなくても良いと』

本当に、今いじめを受けている、悩んでいるというお子さんに、ぜひ最後にメッセージをお願いします」

尾木さん
「一番大事なことは、担任の先生に通じなくても『君のほうが悪い』と言われても、通じる大人は必ずいます
だから、死んだりはしないで欲しいということ。発信して欲しい

親御さんに言いたいことは、本当に学校には行かなくてもいい。命があればなんとでも回復ができる。そういう子どもたちを大勢見てきている。

大学や高校進学を心配する声もあるが、大丈夫ですから。自信を持って言います。
むしろ何かあったら言ってください。僕がアドバイスします。

とにかく命を守って欲しい。『お母さんが守るよ』というのを力強く宣言して欲しい

ちゃママ感想

以前、尾木ママがテレビで言っていました。


いじめのあるクラスに生活している子どもは、誰一人幸せではない


息子が幼稚園のころ、何度か”いじめ自殺のニュース”を一緒に見ました。そのとき、


「いじめられたら無理に学校に行かなくてもいいんだよ。命されあればなんだってできるんだから」


と話したことがありました。

息子にはまだ難しかったかもしれないけれど、子どもにとって「学校はすべて」だと思いがちですよね。世界は広いのに。


そして、いますぐわたしができることは、わが子が加害者にならないようにすることだと思いました。

いじめとからかいの境界線を教えること。

人の気持ちがわかる子、共感力の高い子にすること。

加害者がいなければ、被害者は出ませんからね…


長文を読んでいただきありがとうございました。