こんにちは、ちゃママです。
お久しぶりの更新になってしまいましたが、あと数日で今年度も終わりますね。
卒業、卒園されるお子さんがいらっしゃるみなさま、おめでとうございます!
さて、2019年3月17日放送の情熱大陸を見ました。
紹介されたのは、塾講師の宝槻泰伸さん(37)。
宝槻さんの塾は、受験も成績アップも狙わない、ただ子どもの好奇心に火をつける授業をするといいます。
非常に興味深いこの塾。番組内容を紹介します。
目次
「探究学舎」とは
宝槻さんが主宰する塾「探究学舎」は東京都三鷹市にあり、小学生から高校生まで400人あまりが通っている。
講師は6人で既成の参考書や教材などはない。
カリキュラムの中身は何もかも講師たちがみずから作り上げている。
学校の授業とは似て非なるカリキュラム。
「ことば編」「元素編」「戦国英雄編」「経済金融編」「人類進化編」など、誰でも好きなテーマを選んで受講できる。
中にはこんなことをどうやって子どもに教えるのかという講座もある。
冬の特別授業には全国各地から子どもたちが集まり、最近はオンライン授業もスタート。海外から受講している子どももいる。
宝槻さん
「何かを教えるというより、驚きと感動を感じてほしい。元素に、宇宙に、あるいは生命に」
文部科学省の専門家と並んで教育の未来を考えるシンポジウムからも声がかかり、業界注目の的の宝槻さん。
話を聞いた塾経営者たちは、
「『これからの時代は能力開発ではなくて興味開発』という言葉がすごい刺さった」
「学力を上げるとか受験で成功するということが、その後の人生にどれだけ意味があることなのかというのは、我々も疑問を持っている」
探究スペシャル「元素編」
宝槻さんが目指すのは興味の開発。
小学校低学年から中学生が集うクラスをのぞいてみた。
宝槻さん
「第3回、元素カルタ大会~!」
子どもたち
「いぇ~い!」
いきなり始まったのはカルタとり。
宝槻さんが出すヒントから当てはまる元素を選び出す。
宝槻さん
「この元素は『クロリン』。黄緑色のガス!」(答えは塩素Cl)
次は歌を歌い出す宝槻さん。
宝槻さん
「♪ある~日、森のなか、モリブデン~」
女の子
「えー!ただ歌ってるだけだと思った!」
これはあくまでも元素の物語に引き込むためのウォーミングアップで、授業らしい展開になるのは盛り上がったあと。
宝槻さん
「名付けて、分子を作ってみよぉ~!!」
子どもたち
「いぇ~い!」
化学式に基づいて、模型で分子構造を作ってみる。
使うのは穴の開いたボール状の原子と、原子と原子を繋ぐ手(やわらかい棒のようなもの)。
宝槻さん
「この問題は難しいぞ!問題はこちら!」
C6H6 (ベンゼン)の分子構造を作れ!
炭素原子6つと水素原子6つが結合したベンゼン。
模型を使えば原子と分子の関係が、直感的に理解できる。
原子がつなげる手の数はそれぞれ決まっている。
手をつなぐための穴が余ってはいけない。
女の子たち
「できたー!!!!」
宝槻さん
「これは完成ではない」
女の子たち
「えーっ!?」
宝槻さん
「美しい形を探してください」
ベンゼンの分子構造がいかに美しいものなのか、それを伝えたいようだ。
ようやく完成させた子どもの模型を見せる宝槻さん。
宝槻さん
「雪の結晶みたいなかたちでしょ?美しいと思った人!」
子どもたち
「はーい!」
さて、テーマは元素。
この授業では、元素こそ地球を作る材料だと教えている。
そして物語は一気に壮大になった。
宝槻さん
「皆さんが毎日、毎晩夜空で見つけることができる無数の星々。
この星々の光というのは、元素を作り出しているときの光。
星たちは1秒も休むことなく常に元素を作り続けているの。
星の輝きとは、元素を作り出す努力の輝き。
その元素が地球にやってきて、その元素をわたしたちは借りて生きているわけ。
ということは、わたしたちは星の子どもっていうことなんです」
難しいテーマでもいざない方ひとつで好奇心の種をまくことができるという。
宝槻さん
「さっきみんな『美しいと思った』と言った。あそこが最高の瞬間。感じたっていう。
世界のいろいろなことに『すごいな』という感動を感じて、感謝をもって、自分もなにかがんばりたいなというやる気、気持ちを作って欲しい」
カリキュラム作り、反省会
子どもたちの興味を開発するためには、どんな努力も惜しまない。
スタジオで歌の録音現場を見守る宝槻さん。
宝槻さん
「探究学舎の各テーマごとの授業にテーマソングを作っていこうというプロジェクト。
エンターテインメントを徹底的に教育に入れ込むのが僕らのミッションだと思っている。
いわゆる塾の先生の仕事も超えていく」
戦国武将のキャラクターや功績を散りばめた歌づくり。
学校で暗記を求められる年号などは一切出てこない。
まずは「おもしろそうだ」と興味を持たせる。
興味さえあれば、子どもは自分の力で知識や理解を深めていく。
そう信じていた。
戦国武将編と題された授業では、子どもたちと一緒に歌に合わせてタオルを振り回し、大変な騒ぎになってしまった。
様子を記録した映像を確かめて、ささやかな自画自賛。
宝槻さん
「やっぱりこのタオルが効きましたね」
授業のあとは、塾に賛同する外部スタッフも加わって反省会。
スタッフ
「わあっ!とある種の祭りという感じで盛り上がるのはいいが、終わったあとに結局何を学んだのかなぁみたいなところを、少し深めるようなことができるとさらに子どもたちが探求しようという気持ちが湧くのかなと思った」
スタッフ
「少し品がないと取る可能性もなくはない。少しあおり過ぎ感がある」
宝槻さんについて
宝槻さんは1981年東京生まれ。男ばかり三人兄弟の長男。
父親は教育事業を手掛けていた。
学校になじめず、1年で高校を中退。
父親に学び、塾にも行かず京都大学経済学部に入学。
同じようにして弟2人も京都大学にすすんだ。
卒業後、受験や成績アップを請け負う学習塾を開く。
だが、ふと立ち止まり自問した。
宝槻さん
「いつまで勉強を教えるんだろうなと。
究極的にいうと、勉強で成果が出ることに対して自分が関心がないことに気づいた。
目の前の子がどの大学に行くのか関心がなかった。
そんなときに気づかせてくれたのが小学生だった。
『今日は歴史』『今日は宇宙』とやっていったら、そっちの理論のほうがおもしろいと。
算数とか国語とかはつまらないと。
そこからビジョンがぶわーっと音を立てて形になっていった」
たとえば、半年前から宝槻さんの塾に通ってきている小学1年生の女の子。
元素の授業を受けて以来、物理学に恋してしまった。
女の子
「素粒子全部言えるよ。アップコーク、ダウンコーク、チャームコーク…」(完璧!)
日本史に目覚めた少年もいる。
何かに興味を持つと「巻物」と呼ばれる研究ノートを作り、自発的に知識を広げていく。
塾は今年で8年目。
ここで学んだ子どもたちは、どんな大人になるのだろう。
冬の特別授業、新たな挑戦
2月、これまでにない授業を企画した。
プラネタリウムを利用して宇宙の神秘を紹介するのだという。
授業は150分と長丁場。ギリギリまでシュミレーションを繰り返した。
授業は東京、府中市郷土の森博物館にあるプラネタリウムで行われ、受講者は全国から200人あまり。
1日限りの特別授業はたちまち予約で埋まったという。
大空の星には寿命がある。宝槻さんはそのドラマを語った。
宝槻さん
「赤色超巨星が最期のときを迎えるとどうなるでしょうか?
宇宙最大の爆発が起こります」
プラネタリウムに映し出された赤色超巨星が大爆発をおこし、子どもたちは悲鳴をあげたり大笑いしたりしていた。
特別授業は大成功。子どもたちの好奇心も爆発していた。
挑戦はさらに続く。
いま新たに企画しているのは、クラシック音楽の授業。
弦楽器や管楽器などのパートがどう積み重なって楽曲になっているのか、オーケストラのしくみを解き明かすのだという。
プロの指揮者に協力をあおぎ、実際に演奏者の力を借りる。
大仕事になりそうだが、なんとしても子どもたちを驚かさなければ!
ちゃママ感想
宝槻さんが進学塾で感じた「いつまで勉強を教えるんだろう」という言葉。
そして、中学受験が白熱するなかでも塾の経営者たちは「これからの時代は能力開発ではなくて興味開発」と考えかたに共感している。
子どもの好奇心に一番近くで火をつけられるのは、親だと思います。
一緒に体験する、不思議がる、調べてみるなど、子どもが興味を持っていることを広げる手助けをしてあげたいものですね。
ちなみにアインシュタインは、
と言ったそうです。
番組を見逃した方は、放送後から1週間は無料で見れますよ。
↓
https://www.mbs.jp/jounetsu/past/