6月10日(土)放送のすくすく子育て「食物アレルギーの新常識」を観ました。
息子に食物アレルギーはありませんが、新常識ということでレポを書こうと思います。
2016年12月8日、国立成育医療研究センターで、驚くべき研究結果が発表されました。
これまで食物アレルギーは原因となる食べ物を「除去すること」が常識でしたが、その逆の「食べること」が予防や治療に効果があるという発表だったのです。
一体どういうことなのでしょうか?
最新治療や予防法を教えてくださるのは、 国立成育医療研究センターアレルギー科医長大矢幸弘さん。
食物アレルギーと深い関係のある乳幼児の肌のケアに詳しい、神奈川県立こども医療センター皮膚科部長馬場直子さん。
目次
食物アレルギーの原因
<VTR>
10ヵ月の女の子。
生後6か月頃から離乳食を始めた。
ママが食物アレルギーがたくさんあり、パパも昔小児ぜんそくとアトピーがあった。
今後、アレルギーやアトピー、ぜんそくが出てくるのではないかと心配。
食物アレルギーが心配で、アレルゲンになりそうな食材はまだ食べさせていない。
1歳6か月の男の子。
1歳を過ぎるまでは何事もなく離乳食を食べていた。
ところが、3か月ほど前。
夜ご飯のときにトマトを手で食べていたが、食べたあとに顔や手に湿疹が出た。
かゆがったが、30分ほどで消えたので病院には行かなかった。
今まで平気だった食べ物で湿疹が出たので、アレルギーなのかどうかがわからない。
親がアレルギー体質だと子どももアレルギーになるの?
大矢さん
食物アレルギーは遺伝しない。
ぜんそくもアトピー性皮膚炎も、なりやすいという傾向はあるが遺伝しない。
食物アレルギー発症のメカニズムは完全に解明されたわけではないが、湿疹のある赤ちゃんは食物アレルギーになりやすいということがわかった。
肌荒れのない健康な状態なら問題ないが、湿疹などで肌が荒れていると食物などのアレルゲンが皮膚から体内に入ってしまい、それを異物だと認識して抗体を作る。
そのため、その食物に対してアレルギー反応を起こす。
大矢さん
人間は食べ物を食べるが、その食べ物は異物だとみなさないで消化して取り込む力がある。
ところが、肌はそこから入って欲しくない場所。
肌が荒れていると、そこから取り込む力が働いてしまうため、アレルギー反応が起きやすくなる。
だから、湿疹がある赤ちゃんや、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは食物アレルギーになりやすい。
馬場さん
意識の高いママたちは、一生懸命保湿していると思うが、何もしなければ現代の生活様式は、とても乾燥しやすい環境になってきている。
外の空気が乾燥しやすかったり、室内の空気も乾燥しやすいので、肌も乾燥しやすい。
清潔志向でせっけんをたくさん使うことで、洗いすぎたりこすりすぎたりして皮膚をより乾燥させて、本来肌が持っているバリア機能を低下させている傾向がある。
赤ちゃんのときから保湿をしてバリア機能を守ることが大事。
大矢さん
アレルギー疾患は、世界の先進国を中心に増えてきている。
例えば食物アレルギーは、その食べ物を食べなければ何も起こらないから、予防のためにも食べないほうがいいという考えになり、世界中でアレルゲンとなる食べ物を食べる時期を遅らせるようになった。
その結果、離乳食を開始する時期がどんどん遅くなるにしたがって、食物アレルギーになる子が増えてきた。
良かれと思ってやっていたことが、逆だったということが最近わかってきた。
馬場さん
トマトをあげて湿疹が出たのは、顔と手だけなので、かぶれただけの可能性がある。
大矢さん
かぶれの中にも特殊なアレルギーがあることはあるが、かぶれは食べ物が肌についた刺激によって症状が出てくるもの。
大矢さん
もしかぶれならば、食べる前に肌にワセリンのようなものを塗ってブロックしておけば、食べても何も起こらない。
でも食物アレルギーなら、食べたら症状が出るので対策が違う。
湿疹のある子どもが食べるのをやめてしまうと、それまで食べられたものがしばらくあとに食べられなくなって、本当の食物アレルギーになってしまうことがある。
自己判断で勝手に除去することは、かえってリスクを高めるので、病院できちんと調べた方が良い。
食物アレルギーの親にできること
<VTR>
2歳6ヵ月の男の子。
10ヵ月のときに卵を食べてアレルギー反応が出た。
卵をぞうすいのようにして食べさせたら、食後15分くらいで具合が悪そうな感じになり、全身にじんましんが出た。
血液検査をした結果、卵と大豆のアレルギーがあることがわかり、今は完全除去している。
最近、弟(1歳)も卵と大豆のアレルギーがあることがわかった。
大矢さん
親が妊娠中に食物を制限するということは、アレルギーの予防にはならない。
世界中のガイドラインは、妊娠中も授乳中も親の食物制限は推奨しないということになっている。
食物が原因で乳児湿疹が出るわけではない。
馬場さん
今まで胎内にいたときには羊水で守られていた赤ちゃんが、生まれた瞬間から乾燥した空気にさらされているので、ちょっとした刺激でも湿疹が出やすい。
昔は乳児湿疹だから放っておけば治るよと、あまりケアをしなかった。
でも、乳児湿疹がひどい赤ちゃんほど、あとでいろいろなアレルギーになりやすいということがわかってきた。
乳児湿疹は放置しないで、湿疹を早く抑えて保湿剤を塗り、肌をいい状態に保つことが大事。
食物アレルギーは治るの?
<VTR>
1歳6ヵ月の男の子。
生後9ヵ月のころ、初めて食べた離乳食の卵白でアレルギー反応が出た。
それまでは何でも食べていたが、初めて卵白を食べた日は元気がなく、すぐに寝てしまった。
その2時間後、滝のように嘔吐した。シャワーで流していたら、全身に発疹が出てきた。
病院で検査をしたら、卵白が原因の食物アレルギーだとわかった。
大矢さん
スキンケアを続けて、肌がきれいな状態を維持しながら少しずつ食べていくと治る可能性はある。
少しずつというのが、どれくらい食べられるかその子によって違う。
病院で食物経口負荷試験をしてもらって、限界よりも少ない量であれば食べても何も起こらない。
少ない量を食べていると、だんだん自分が食べられる量が上がっていく。
安全な量を見つけて、少しずつ食べていく。
必ず、医師の指導の下で安全な量を食べさせることが大事。
※食物経口負荷試験・・・アレルギーの原因と疑われる食物を、少しずつ増やしながら食べさせて症状の出現を観察する。
ママが幼少期に重度のアトピー性皮膚炎でステロイドを使っていた。ステロイドを子どもに使うのに抵抗がある。
馬場さん
ステロイドは決して怖い薬ではなくて、使い方しだい。
昔ステロイドは良くなったらすぐにやめなさいという指導があった。
良くなってすぐやめたらまた悪くなった、リバウンドしたから怖いと、ステロイドは怖がられた。
実は皮膚の中ではまだ炎症がくすぶっていて、やめたら出るのは当然ということがわかってきた。
ステロイドは、医師に処方されたものを毎日適量を塗ることが大事。
表面が良くなったら1日おき、2日おき、3日おきと、徐々に日にちを開けていき、それでも炎症が出なくなったところで保湿剤に切り替える。
薬をやめるタイミングなどは、医師と相談しながらすすめる。
大矢さん
食物アレルギーは丁寧に治療すれば治すことができるし、予防も可能な時代になってきた。
肌のケアを徹底的にやる。
そして、食べるのを遅らせるのではなく食べた方が良い。
食物アレルギーかどうかわからない場合は、医師に相談して安全に食べられる量を把握して食べていく。
1つ1つを丁寧に対処すれば、食物アレルギーは克服することができる。
馬場さん
生まれてすぐからスキンケアを始めて保湿をしっかりするということは、皮膚のためだけでなく食物アレルギーの予防にもなり、そのあとに続くアレルギーマーチと言われるぜんそくなどを防ぐことにもつながってくる。
皮膚のケアをしていくときに、ステロイドは怖がらず、医師の指導のもと適切にしっかり使うことが大事。
食物アレルギーの最新情報まとめ
食物アレルギーという言葉が使われるようになったのは1970年ごろ。
特定の物を食べると嘔吐や下痢を起こす症例が世界中から報告された。
食べなければ症状が出ないので、長いあいだ除去という対処をしてきたが、食物アレルギーの患者は減ることはなく増えてしまった。
2008年、ピーナッツを乳幼児期から食べていたイスラエルの子とアレルギーを心配して食べさせていなかったイギリスの子を比較すると、イギリスの子のほうがピーナッツアレルギーの発症頻度が高いという研究結果が発表された。
さらに、2015年乳児期からピーナッツを食べた子どもは、全く食べなかった子どもに比べて、5歳でのピーナッツアレルギーの発症率が非常に少ないという研究結果も発表され、食べなければ予防になるという考えが完全に間違いであることが証明された。
そこで大矢さん率いる国立成育医療研究センターでは、
「離乳早期にアレルギーを起こしやすい食品を食べさせると、食物アレルギーを予防できる」
という仮説を立てて、研究を行った。
生後4~5ヵ月までにアトピー性皮膚炎を発症した乳児を対象に、生後6ヵ月から1歳まで介入を実施。
早期から卵を摂取した方が、食物アレルギーの発症率は8割予防できる結果がわかり、仮説は実証された。
このような国内の研究結果から、食物アレルギーの予防・治療は、『除去』から『食べる』に180度転換することになった。
ただし、食物アレルギーと診断されている子どもは、主治医と相談しながらすすめることが大事。
独断で食べさせるのは危険!!
子どもへはポジティブに説明する
食物アレルギーの子どもへの説明のしかたが知りたい。
馬場さん
自分だけ違う食事を食べているということで、劣等感を感じるかもしれないが、お母さん自身が食物アレルギーがあることは困ったことだとか面倒なことだと思っていると、その気持ちが子どもに伝わってしまう。
「あなたが特別だから、大事だから、人と違うかもしれないけれども、お母さんと一緒にがんばっていけばきっと治るよ」というふうに伝える。
お母さん自体がポジティブに考えることが大事。
大矢さん
自分の子どもに食物アレルギーがあるということは、周りの人に理解してもらったほうがいい。
昔よりも食物アレルギーの子どもはすごく多いので、社会的には理解がすすんでいる。
前向きに一緒に取り組んでいくことが大事。
ちゃママ感想
幼稚園のときの遠足では、先生に「おやつ交換は絶対にしないでね」と言われたそうです。
医師と相談しながら少しずつ食べることで治る可能性がある。
乳児湿疹など荒れた肌が原因で発症する。
少しずつ食べた方がいいということは知っていましたが、肌が原因というのは驚きました。
ちなみに、わが家では息子が小さいころから「キュレル」のローションを使っています。
ポンプタイプのものが使いやすいですよ。