こんにちは、ちゃママです。
2018年4月16日放送のあさイチは、「シリーズ発達障害 子どもが“発達障害かも”と言われたら」というテーマでした。
児童精神科医吉川徹さんの話を中心にまとめました。
目次
発達障害とは
ASD(自閉スペクトラム症):コミュニケーションが苦手、こだわりが強い
ADHD(注意欠陥・多動症):不注意、落ち着きがない
LD(学習障害):読み書きが苦手、計算が苦手
上記の特徴が非常に強く出た場合、発達障害と診断されます。
発達障害なのか、発達障害ではないのかの区切りはなく、専門家でも見極めが難しいといいます。
※今回は判断がつきづらく、専門家が「発達障害の可能性がある」と指摘された人をグレーゾーンとします。
グレーゾーンの場合、どうしたらいいのか
吉川さん
「発達障害に詳しい保健師や保育士が増えてきているので、親に伝えられることが多くなった。また、親自身も発達障害について知っている人も増えてきているので気がつく人も増えてきている。
昔から発達障害の概念のようなものは知られていたが、グレーゾーンの子もたくさんいることはここ数年でだんだん知識が広まってきた。
発達障害の特徴そのもの(持って生まれたものの見方、感じ方、たどりやすい考え方の道筋など)というのは、本質的には成長しても変わらない。
ただ、その特徴に合わせて育てていくことができれば、だんだん困りごとが減ってきたり挑戦できることが増えてきたり、人生のなかで乗り切っていける場面というのがだんだん増えてくる。
それがわかってきたので、早めに発達障害に気がついて、特徴に合わせた子育てをしていこうという気持ちを持った人が増えてきている」
早いうちに把握したおいたほうがいい?
吉川さん
「早めにわかったほうが、子育てが無難になる、手堅い子育てができる。
気がつかないで子育てをしていると、子どもが今できていることよりも、例えばいま3歳だからコレ、5歳だからコレというような子育てをしてしまい、子どもには合わない。
子どもが失敗の経験を積み重ねたり、怒られたり責められたりすることが増えてくると、子育てがこじれてきてしまう。
それを防ぐために早く気がついた方がいいと考える人が増えてきている」
発達障害かどうかはっきりさせたほうがいい?
吉川さん
「グレーゾーンだとわかって子どもにあった子育てができていれば、必ずしもはっきりさせる必要はないと思う。
ただ、子育てのなかでもっと一緒に考えてくれる人や手伝ってくれる人が欲しいとか、知識が欲しいとか何か足りないと感じたときは、医療機関を受診して診断を受けるなどして、子育てに使える資源をたくさん確保することはできると思う」
誰に聞くのが一番いい?
吉川さん
「保健師。1歳児健診や3歳児健診などで関わってくれるし、発達障害の知識がある人が多い。
専門家がグレーゾーンだと親に伝えるとき大事なポイントがある。
1つは、どんな見方をしていけばいいのかを一緒に伝えること。いま子どもが何ができているのかに注目してほしい。
今できていることの半歩先、一歩先の課題に挑戦していくことを意識すると育てやすくなるなどのアドバイスを一緒にしてくれると助かると思う」
グレーゾーンの子どもとどう接する?
吉川さん
「グレーゾーンだと言われた段階だと、子育てに対する考え方や目標の設定のしかたをガラッと変えられる親はそんなにいないと思う。
追いつこう、同じ年齢の子どもと同じ目標に挑戦しようと思ってしまうのは仕方がないと思う。
でも子どもが“何かができること”を目指していくのではなく、“やりたくなること”を目標に設定するような関わり方ができると、手堅く安全な子育てができると思う」
どこに相談したらいい?
吉川さん
「地域によってずいぶん違いがあるので、まず地元の情報を集める。
就学前と小学校では利用できるサービスや相談先が違うことが多い。
小学校だと教育委員会の中に相談先があったり、学校の中にあったりする」
周りの大人はどう関わる?
吉川さん
「グレーゾーンの子は、できるかできないかだけで見ると、できることのほうが多い。
できるけれども他の子の2倍疲れるとか、できるけれども他の子の3倍時間がかかるとか、そういうことに気づいてあげないと子どもが疲れ切ってきてしまう。いろいろなことが嫌いになってきてしまう。
できるかできないかだけに注目しないことが大切」
子ども本人に伝えるべき?
吉川さん
「子どもに伝えるか伝えないかは、ゼロかイチかではない。
たとえば、『こんなことは得意だけどこんなことは苦手だね』とか『こういう場面ではこういう手伝いがあると楽になるね』とか、子どもが自分自身を見る見方と、親の見方をだんだんすり合わせていくことはやってもいいと思う。
すり合わせることがある程度積み重なってくると、実はこういう状態のことを…と、障害名そのものを伝えていきやすい。
そして、子どもが大きくなって困ったときに相談する相手は、親ではなくなってくる。
子どもが困ったときに周囲がたどり着きやすくなるようなキーワードみたいなものを持たせることも大切。
困ったらこれを手掛かりにして助けてくれる人や必要な知識を探すんだよと伝えておくもの悪いことではないと思う」
相談できる機関
1歳児健診、3歳児健診で発達の遅れが指摘されたり、幼稚園・保育園、小・中学校で指摘された場合、
- 子育て支援センター
- 保健センター
- 児童発達支援センター
- 発達障害者支援センター
などで、発達障害の可能性があるかどうか調べることができる。
仮に可能性があった場合、
ペアレントトレーニング:子どもの行動を理解し、接し方を学ぶ
ペアレントメンター:同じ状況にある先輩の親への相談
こうしたさまざまな支援が、全国の自治体で実施されている。
診断を受けるにはどんな医療機関がいい?
吉川さん
「地域によっていろいろ。児童精神科医や小児科、小児神経科で診断を受ける。
地元の保健師に聞くと、だいたいこの地域のかたはこの医療機関にかかっているなど教えてくれる」
どういうタイミングで病院に行ったらいい?
吉川さん
「ひとつは、親が子育てをしているなかで、何か足りないなと思ったとき。
一緒に考えてくれる人が足りない、手助けしてくれる人が足りない、もう少し知識が欲しいと思ったとき、診断を受けることでそういうことが手に入ることがある。
もうひとつは、こじれの兆候が出てきたとき。
その子が人生のなかで嫌いなことややりたくないこと、避けたいことが増えている場合は、早めに受診することを含めて、多くの手助けを手に入れることを考えたほうが、手堅い子育てになる」
視聴者からのFAXへの回答
3歳のころ様子見。でもやはり小3息子がグレーゾーンかも。他人に説明するためにも診断を受けた方がいい?
吉川さん
「周りの人に説明するために診断を受けるのはいい方法。
診断の目的は、『いろんな資源を手に入れるため』『周りの人に伝えやすくなる』『本人や家族が考え方を切り替えられる』こと。
診断を受けることで周りには伝わりやすくなる」
小1になり、自分の名前は書けるがひらがなが読めない。無理に教えない方がいい?
吉川さん
「学校に入るまでに、ひらがなを読み書きすることが嫌いになるのはもったいない。
これをすればこの子はひらがなを読みたくなるかもしれない、書きたくなるかもしれないというような工夫をするのはいいと思う。
ただ、どう嫌いになっているかという兆候は気をつけて見ていく。嫌いにさせないことが大事。
ひらがなを教えること自体は、学校の先生のほうが上手なので任せる。興味を持たせることは家で取り組んでもいいと思う」
大人になってからグレーゾーンと指摘された。
吉川さん
「周りから個性と言われるのがつらい人もいる。
障害が自分の個性だと思うことはわりと大丈夫だが、周りの人が『それはあなたの個性だよ』という言い方をするのは慎重にしたほうがいい。
安心させるために『個性だよ』という人がいるが、自分の苦しみがわかってもらえないと受け止める人もいる」
主人がグレーゾーンだと言われた。
吉川さん
「大人のグレーゾーンはさらに難しい。子どもの診断よりも必要な情報が手に入りにくいため、グレーゾーンという診断が増えてしまう。
グレーゾーンだと受け止めてできることを探していくのがひとつの方法」
ちゃママ感想
診断してもらえたら、早く支援を模索できるのにと思いますよね。
「その特徴に合わせて育てていくことができれば、だんだん困りごとが減ってきたり挑戦できることが増えてきたり、人生のなかで乗り切っていける場面というのがだんだん増えてくる」
という吉川さんの言葉が印象に残りました。
わたしの友だちの子どもも、3歳児健診で様子見になり、就学前検診でひっかかり、発達障害だと診断されました。
いまは、通常の学級に在籍しながら一時的に別室で特別指導を受ける通級指導教室に通っているそうです。
発達障害については、自分の子どもがそうでなくても知っておきたいことですね。
4月30日(月・祝)午前8:15~、発達障害に関する特番が放送されるそうです。