こんにちは、ちゃママです。
2018年4月14日放送の「世界一受けたい授業」を見ました。
いま、悩み多き若者のあいだで、10年前に書かれた一冊の本が注目を集めているといいます。
2年前に亡くなった菅野仁さんが、10年前にこの本を書いたきっかけの1つが、友だち付き合いが苦手だった娘さん。
当たり前にできると思われている友だち付き合い。
実はそれは幻想にすぎないのではないか。
教えてくれるのは、芥川賞作家又吉直樹さん。
自らも苦手な人付き合いに悩み、この本に深く共感したといいます。
目次
友だち付き合いが疲れる理由
高校生に「学校生活で大切だと思うことは?」と質問したところ、「親友を作ることが大切」と答えた率は、アメリカ33.1%、日本44.6%。
日本の高校生のほうが友だちを重視しているという結果が出ました。
一方で、大学生に「人間関係に疲れていますか?」と質問したところ、半数以上が疲れていると回答しました(53.7%)。
友だちを重視している一方で、なぜ友だち関係に疲れてしまうのでしょうか。
その理由は、「友だちには2つの要素があるから」と『友だち幻想』に書かれています。
一つは「友だちはワクワクした気分にさせてくれる存在」だから。
もう一つは「友だちは怖い存在、脅威である存在」だから。
例えばLINEだと、返事をすぐに返さないと相手を怒らせてしまうのではないかと不安になります。
教室でみんなで話しているとき、自分が帰った途端に悪口を言われるのではと不安になります。
普段は楽しい付き合いも、ときには重荷になることがあります。
友だち付き合いは、自由に抜け出すことができない脅威ともなりうるのです。
“友だちはいなくてはいけない”という空気が、人によっては息苦しさを感じることもあるのです。
自分以外はみんな他者
又吉さんは、この本のすべてに感銘を受けたそうですが、強いて言うなら、
「いくら仲のいい友だちでも100%理解できる友だちなんてありえない。自分以外は全員『他者』と思うことが重要」
と書かれている部分に救われたそうです。
ここで紹介されたのは、「一年生になったら」という歌。
♪一年生になったら 一年生になったら 友だち100人できるかな
希望があふれる素晴らしい歌ですが、友だち付き合いが苦手なタイプの子にとっては、もしかしたらプレッシャーになるかもしれません。
『友だち幻想』の中で著者の菅野さんは、「友だち幻想からそろそろ解放されるべき」なのではないかと書いています。
自分の限界を知るということ
本には、友だち付き合いが苦手になる理由の一つとして、
「自分の限界を学校は教えてくれない」
と書いています。
例えば大人であれば、自分のできることには限界があり、相手の要求を100%満たすのは無理だとわかります。
ところが学校では、「あなたたちには無限の可能性がある」というメッセージばかりが強調され、誰にでも限界がある、頑張ってもダメなこともあるという事実はなかなか教えてもらえません。
子どもが100点の答案を見せてきたとき、もちろん褒めてあげることは大切です。
しかし、子どもが「ノーベル賞取れるかもね」などと言ったとき、「世の中にはとても優秀で、努力している人がたくさんいる。ノーベル賞なんてかなり難しいぞ」というように、上には上がいることを教えることも重要なのです。
挫折や限界を知らない子どもは、友だち関係も自分の思い通りになると勘違いして、ちょっとしたことでもつまづいてしまう恐れがあるのです。
限界を教えるということは、冷たい感じがします。
でもこの本の素晴らしいところは、無限の可能性を否定しているわけではなく、限界も同時に教えるべきだというところです。
子どもに無限の可能性があるのは事実ですが、それだけを教えていると挫折したときに立ち上がれなくなると菅野さんは危惧されているのです。
付き合い方の作法を教える
子どもに「学校に苦手な子がいる」と言われたら、どんなアドバイスをしますか?
答えは「その子と距離を置いてみたら?」です。
もちろん仲が良い友だちがいるのはいいことですが、無理をして気の合わない人と友だちになる必要はないのです。
距離を置くということは、協調性がない、冷たい態度と思われるかもしれません。
そこで、気の合わない人と一緒にいる作法を学ぶことも重要なのです。
例えば、最低限のあいさつはしましょう。
親しくしすぎる必要もありませんが、敵対視するのもやってはいけません。
あいさつをするだけの関係性というのも、距離の取り方の一つです。
そもそも、自分のことを100%受け入れてくれる友だちというのは幻想なのです。
これを知っておくことが、人間関係を作っていく上で希望の出発点となるのです。
冷めた言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、どんなに仲の良い相手でも他者は他者。
他人とトラブルを起こさずに折り合いをつけることを学ぶことが、大人になるということだと菅野さんは言っています。
大人になると人のいいところも見えてきます。
自分と近い感覚の人や、自分と全然違うけど素敵だなと思う人が増えてきます。
いい距離感が大事なのだと思います。
ちゃママ感想
たしかに学校は、“友だちはいなくてはいけない”という空気に包まれている気がします。
一人でも平気だったり、むしろ一人で過ごしたい子がいてもいいはずですよね。
そして、限界を教えること。
これは、以前読んだ本にも、
小学校低学年では「もしかしたら天才かも」とおだててもいいが、高学年になったら、おだてるだけではなく、できないこと、人に負けることがあるのだと教える必要がある。
と書かれていました。
その話はこちら↓
林先生も初耳学で、「ドライな人間関係を子どもにも習得させよ」と話していましたよね。
実は、息子も3学期、また隣の席の女の子に困っていました。(2学期とは違う子;)
答案は見てくるし、授業中は足をブラブラして気になるし、話しても聞いてくれないし直らないしと…。
「う~ん…それ以上言ってもきっと直らないから、そういう子なんだなってあきらめるしかないよ」
と言いましたが、クラスには本当にいろいろな子がいますよね。
“いい距離感で接する”。
まだ難しいかもしれないけど、学校はそれを少しずつ学ぶ場になっている気がします。