こんにちは、ちゃママです。
2017年9月23日放送、NHK BSプレミアム「医師の闘病から読み解く がんを生きる新常識」を見ました。
日本でがんと診断される患者は、年間100万人以上。
もし、がんと診断されたら、手術?放射線?抗がん剤?治療費は?
血液内科、消化器外科、麻酔科、泌尿器科、呼吸器内科、皮膚科の6人のがん経験者の医師。
医師ががんになったとき、どんな問題にぶつかり、どう乗り越えてきたか。
司会は坂上忍さん、高橋真麻さん。
ゲストは柳生博さん、宮崎美子さん、レッド吉田さん、竹原慎二さん、吉木りささん。
目次
がんは治る!?
がんの三大治療は、
- 手術
- 放射線治療(放射線を照射し、がんを死滅)
- 抗がん剤治療
東京医科歯科大学血液内科医坂下千瑞子さん(51)は、三大治療でがんを4回克服した。
アメリカにいた39歳(長女が2歳)のときに、背骨に骨軟部腫瘍というがんができた。
余命1年と宣告され、アメリカでは根治が望める手術は無理と言われた。
それでも手術ができる病院を探し、金沢大学医学部付属病院が開発した新しい手術法「腫瘍脊椎骨全摘術」を受けて成功。
がんを治すために確実なのは、がんを取ること。
坂下さん
「一人の医者から(手術は無理と)言われても、他にあるかもしれないと思って欲しい。いま世の中で新しい技術、治療が進歩している。
ただ(治療法を)追い求めすぎて治療の時期を逃すのは問題。複数の意見を聞いたり探すことは大切。
ファーストオピニオンで納得のいかない、ひっかかる場合は、次の(医師の)意見を求める」
手術が成功した坂下さん。
翌年(2006年)がんが再発。
骨軟部腫瘍が腰椎と仙骨にも転移していた。
次は「手術はできない」と言われた。
そのとき、担当医から放射線治療の「重粒子線治療」をすすめられる。
正常な細胞を傷つけずに、がんをピンポイントで正確に狙いうつことができるが、当時はまだ開発途中の技術だった。
それでも治療に挑戦。
その結果、がんの塊は消滅。
治療は計画どおりに進み、後遺症もなかった。
しかし、目に見えないがん細胞が残っている可能性があり、再発防止のため抗がん剤治療に取り組む。
副作用が激しく、半年間入院生活。
その後も、2007年骨軟部腫瘍、2014年大腸がんを患う。
三大治療のリスクと効果を納得したうえで、すべての治療と向き合い、がんを乗り越えた。
リスクのある治療。あなたはどうする?
坂下さん
「重粒子線治療は、放射線よりパワーが強い線源を使っている。治療が開発されたことで救われた」
スタジオの女性医師2人も「命があるのであれば(リスクのある治療法を)選択する」と。
先進医療ってどのくらいお金がかかる?
坂下さん
「腫瘍脊椎骨全摘術は、先進医療(厚生労働省が認める研究段階の医療技術)だったので、200万円ぐらい(現在は一部保険適用)。
重粒子線治療も300万円。腫瘍の種類や部位によって変わるが、週に4回、4週間、全部で16回をワンセットで300万円だった。
最初はお金を集めてでも受けようという方はたくさんいるが、再発したら、再々発したら、お金の切れ目が命の切れ目になるのかと不安で怖い治療でもある」
抗がん剤治療の最新事情
ここ数年、通院しながら抗がん剤投与を受ける、外来化学療法が一般的になっている。
2017年3月に肺がんのステージ4と診断された患者。手術、入院、退院のあと6月から週に1度通院している。
看護師の問診→担当医の診察→抗がん剤調剤→抗がん剤投与。
通院を初めて2ヵ月。自宅では週に1回、理学療法士によるリハビリを受け、全身の状態が良くなっている。
日常生活を送りながらがん治療を受けられる外来化学療法は、患者自身が体調の変化を看護師や医師に正確に伝えることが条件。
在宅中、自分自身で体調を把握し、管理することが求められる。
がんは治せる病気なのか?
さまざまな治療法により、がんの5年生存率は伸びてきている。
がんは治せる段階で、治せる治療ができれば、治せる病気。がんにかかる人を減らすことが、世の中全体のがん対策。
あらゆる病気の治療薬のなかで、抗がん剤の市場規模は年々増加し、トップ。
中でも世界的に注目されているのが、「分子標的薬」と「免疫チェックポイント阻害剤」。
◆分子標的薬
従来の抗がん剤は、がん細胞を攻撃するだけでなく正常細胞も攻撃するため、強い副作用が出ていた。
一方、分子標的薬は、がんの原因となる遺伝子異常を起こさせない薬。がんの原因だけを狙いうちするため特効薬とも言われている。
しかし、原因となる遺伝子が特定されている患者にのみ有効。
1粒6,615円。
人によって飲む量が変わるが、1年間の服用で1,000万円。
◆免疫チェックポイント阻害剤
わたしたちは、本来カラダに備わっている免疫細胞の力で、日々がん細胞を退治している。
ところが、がん細胞が成長すると、免疫力にブレーキをかけてしまう。
免疫チェックポイント阻害剤は、このブレーキをはずす薬。
ブレーキをはずすことで、免疫はがんを攻撃することができ、死滅させる。
オブジーボは、販売からわずか2年で、年間の売上が1,000億円を超え、抗がん剤のトップになった。
しかし、効果の見られない患者も多く、重い副作用も報告されている。
1箱36万5,000円。
(値下げ前は73万円)
治療法は自分で決める
新大阪がん血液内科クリニックでは、自由診療の免疫療法を行っている。
免疫細胞を強化してがん細胞をたたく、免疫療法。
三大療法に次ぐ治療として期待されている。
しかし、そのほとんどが科学的な根拠が国に認められていないため、保険が適用されていない。
ここでは、免疫細胞を増やすために、患者の血液を取り出してクリニックに併設されたクリーンルームで培養。
再びカラダに戻す治療を行っている。
知識と経験のある医療関係者と高度な医療設備がかかせないため、高い治療費になる。
新大阪がん血液内科クリニック山岸久一医師
「できることなら手術をしてがんを除去してしまう。あるいは、抗がん剤、放射線療法で大きながんを減らす。同時に免疫療法をするのが大切」
自由診療の中には、標準治療を補う科学的な効果が期待されるものがある一方、有効性や安全性が疑われるものも少なくない。
とくに、インターネットにはそうした情報があふれている。
自由診療。認める?認めない?
認めない医師
「学問的な根拠がない状態の治療を受けるのは反対」
△の医師
「標準治療で効かないとき、日本人に合うかはわからないが外国で認可されたものを使ってやりたい」
「エビデンス(科学的根拠)がないものは認めないし、無駄」
「ネットで”免疫力を上げて”などというものは、エビデンスを作る努力自体もされていないまま野放しになっているのが問題。
自由診療につぎ込むお金があったら、旅行や食事をするほうが免疫力が上がると思う」
「珍しい希少がんは、標準治療が確立されていないことが多い。自由診療の中で海外である程度の実績があるようなものなら受けたいと思う」
「(自由診療は)認めない。開発途中でわからないものは診療ではなく研究」
自ら新しい治療法に挑んだ医師
近畿大学学長で外科医の塩崎均さん(73)。
胃がん治療の第一人者が自ら胃がんになった。
塩崎さんのがんがわかったのは、12年前の2005年。
塩崎さんが医学部付属病院の病院長に就任したときに導入したPET検査。
PET検査とは、がん細胞だけを光らせる、高精度の画像診断検査。
胃にできたがんは、腎臓にも転移していた。
胃がんステージⅣ。
標準治療ではすでに手の施しようのない状態。
塩崎さん
「自分と同じ状態の人を何人も手術して助けていない。自分が何もしないでいいのか?
誰も今までやったことがない治療かもしれないけど、自分自身の経験では効くと思うことをやってみよう。
きれいに死ぬんじゃなくて、最後まできれいに生きようと思った」
信頼する放射線科の医師に「術前科学放射線療法」を提案。
放射線治療と抗がん剤治療を同時に行い、がん細胞を小さくしてから手術で取り除く治療法。
これまで食道がんなどでは行われていたが、胃がんでは標準治療として認められていなかった。
胃の場合、放射線を当てると胃に穴が開き、腸などの周囲の臓器にも影響を与えかねないというのが常識だった。
塩崎さん
「新しい治療法をやって一人でも助かれば、その症例は貴重な財産になる。同じような人に治療法の選択肢を与えられると思う」
週5回、放射線の照射と抗がん剤の投与を繰り返した。
開始から1ヵ月半。
光っていたがん細胞のほとんどが消えていた。
その後、胃の8割を手術で切除した。
自らを実験台に開発した治療法が、標準治療に認められることを目指して研究をすすめている。
まだ臨床研究の段階だが、これまでに16人が治療を受けている。
がんと宣告されたらどうする?
2015年3月。
胃がんステージⅣ、余命半年と宣告された、元金沢赤十字病院副院長西村元一さん。
11時間半にもおよぶ手術で、胃と肝臓の一部を切除。
10か月後、西村さんは自分の勤めていた病院に入院し、抗がん剤治療を受けていた。
医学の知識がある自分だからこそ、がんの闘病体験について伝えられることがあるのではないかと、医療者に対して講演活動を開始。
自分ががんになって初めてわかった患者の苦しみ。
中でも、治療や心の不安を相談する場所がないことに気づいた。
近年、外来化学療法などの導入で入院日数が減り、医療者も患者と話をする機会が少なくなっている。
患者は悩みを打ち明けられる場所がなく、医療者も悩みを聞く場所がない。
医療者と患者のすき間を埋める施設(元ちゃんハウス)を作りたい。
モデルとしてのはイギリスで生まれたマギーズセンター。
西村さんは全国200ヵ所を駆け回った。会場では寄付を募った。
2016年3月。懸命の治療の結果、1年間生き延びることができた。
2016年12月1日。元ちゃんハウスがオープン。
施設には、看護師や栄養士などの医療者を中心としたボランティアスタッフが常駐し、西村さんも治療の合間をぬって通い、患者さんの悩みに耳を傾けた。
2017年5月31日、西村元一さん永眠。享年58歳。
患者と医療関係者の懸け橋になった元ちゃんハウスには、多くのがん患者さんたちが集まってきている。
ちゃママ感想
実は先月、親友のお母さんが胃がんで亡くなりました。
がんが見つかったのは約1年前。すでにステージⅣでした。
元気だったらまだまだ長く生きられただけに、とても残念で悲しかったので、今回のレポを書きました。
「効果のわからない自由診療は、研究」
スタジオゲストの竹原慎二さんも、自由診療にかなりお金を使ったそうです。
たしかに「これでがんが消えた!」という本やサプリなどの広告を見かけますよね。信じて使いたくなる気持ちもわかります。
番組後半では、残り3人の医師の経験談をもとに、家族への告知、仕事、家計はどうなるのか、患者同士で支え合う取り組みなどが紹介されました。
長くなったので、続きは明日にします。
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