いじめ体験談から学ぶ、子どもへのいじめとの向き合い方とは

こんにちは、ちゃママです。

2018年8月31日放送の「スッキリ」のなかで、再びいじめについて取り上げられていました。

第一弾はこちら↓
親の立場から「いじめ」に気づける3つのポイントとは

親が子どもをいじめから救うためにどう向き合ったのか。
経験談を募集したところ200件を超える投稿が番組に寄せられました。

その中から3例と、現役教師の体験談が紹介されました。

目次

子どもの本心を聞き出す

22年前、当時中学1年生だった長男がいじめ被害にあったという50代の母親。

母親
「小さいころから人懐っこくて友だちも多くて、委員長なども経験していた。正義感が強くて穏やかな子だと思う」

長男はまじめな性格で、食事のときには学校での出来事を話してくれることもあり、親子関係は良好。

母親
「いじめに関する話は聞かされていなかったし、周りからも聞いたことはなかったので、いじめのいの字も出てこなかった」

しかし、いま振り返ってみると、いじめのサインがあったと話します。

母親
「トレーナーがなくなったのは5月の中旬以降だった。『トレーナーがないよ』って子どもに声をかけたら『あっ忘れてきちゃったかな』という感じだった。『どんくさいなぁどこに忘れてきたんだよ~!』という感じだった」

学校指定のトレーナーがたびたびなくなるようになったのです。

さらに、トレーナーやYシャツにえんぴつやペンで書かれた黒い点々が。

母親
「子どもだからあり得るのかな?という思いだった」

しかし、その5か月後、長男に異変が。

母親
「朝2階から下りてこないので『遅れちゃうよ』『学校行く時間だよ』と声をかけても反応がなかったので部屋に行くと、背を向けて『お腹が痛いんだ』『気持ちが悪いんだ』というのでとにかく今日は休もうということになった。
今までこういうことがなかったので、本当に痛いんだと何も疑わなかった」

その日は学校を欠席。さらにこの日から3日間、体調不良を訴えて学校を休み続けたのです。

このとき母親は、うすうす仮病であると感じていました。

母親
「学校を休むことに対してありえないという空気もあったし、ただ『どうしよう?どうしよう?』と」

突然不登校になった長男。学校に行かせるにはどうしたらいいのか、母としてなんとかしなければと考えてばかりいました。

ところが、

母親
「主人が『どうしても学校に行きたくなかったら、無理しなくていいぞ』と言ったので、『行きたくないのなら無理して行くことはない』と開き直った」

いま思えば、この考え方が長男を救うきっかけになったと母親は語ります。

その日のお昼、近所のレストランに長男を連れていきました。すると、

母親
「『平日のお昼にこういうごはんが食べられるんだね』とぽつんと言った」

最初は学校を休んでいる罪悪感からか、うつむきがちだった長男が次第に話してくれるようになりました。

長男
「お母さん…学校休んじゃってごめんなさい。本当は学校に行きたくないんだ。いじめられているんだ…」

長男は不登校の原因がいじめであることを告白したのです。

母親
「ポロっと涙をこぼしていた。あんなふうに悔しさを出している息子を見たのは初めてで、びっくりというか『何?何?何?』という感じ」

誰にも言えなかったいじめの詳細を話しだしました。

テストの答案を長男の机から抜き取り、教室に貼りだされ笑われたり、あのトレーナーについていたインクもえんぴつや油性ペンなどで背中を突かれた嫌がらせの跡でした。

母親
「『どうしてなの!?なんであなたがこんなことされなきゃいけないわけ!?』って。自分が情けないやら、息子のつらさを思うとどこに何をぶつけていいのかわからない心境なのと、我慢強い子に育てたかったから『我慢してね』と言いすぎたのかなぁという状況だった」

その夜、親子3人で話し合うことにしました。

するとここでも父親のあるひと言が事態を動かすきっかけになりました。

母親
『何があってもお父さんとお母さんは君の味方だから、君を守るから。君の心が壊れたら、どんなにお金をかけたって治せないよ。
やられたらやり返すくらいの気持ちを持ったってかまわないよ』と」

自分たち親は、何があっても味方であること。

そして、嫌なことをされたらもう我慢せず、やり返してもいいと伝えたのです。

母親
「この悔しさって誰にも計り知れないよなと思った。息子の悔しさをこのままで終わらせたくないという思いはあった。
だから、そういうふうにならないためにはどうしたらいいかという発想を持つようになった」

そして、その翌日から長男は再び学校に通い始めました。

その後も母親は長男の持ち物に気を配るなど、長男の様子をつねにチェック。

自然にいじめは止み、卒業まで通い続けることができたそうです。

母親
まずは息子の話をちゃんと聞こうと。3人で他人を入れないで話したことが良かったのだと思う」


ある調査によると、およそ40%の子どもがいじめられたことを誰にも言わないといいます。

その現状について、いじめ防止活動を行っているNPO法人ストップいじめナビ副代表理事の須永さんは、

「いじめを告白できない理由として、迷惑をかけてはいけない、迷惑をかけることでより自分はダメなんだということを周りに知らせてしまう、自分自身がダメなんだという敗北感を感じてしまうということがある。言いづらい要素がたくさんあって言いづらい」

そんないじめから救うためには、周りの大人が子どもの異変をいち早く察知し、向き合うことが大切だと話します。

子どもを追い詰めない

約10年前、当時中学1年生だった娘がいじめ被害にあったという50代の母親。

わが子を追い詰めてしまった言葉に今でも後悔しているといいます。

<寄せられた投稿より>
娘が中学1年生の5月、体育祭が終わった翌週から学校へ登校しなくなりました。はじめは「お腹痛いから休む」が数日続きました。
わたしは意味も分からず、娘に毎日同じ言葉しかかけられませんでした。

母親
「なにがあったの?言わないとわからないじゃない!」
「あなたはどうしたいの?」
「ママはどうしたらいいの!?」

何も言わない娘になぜ学校に行かないのか、ただただ問い詰める日々が続いたといいます。

わたしは認めたくなかったんだと思います。まさかわが家が?今まで他人事だと思っていたことになってる。なぜ?絶対認めたくない!
わが家は共働き。誰にも相談せずひた隠しにし、部屋に閉じこもった娘をおいて仕事に出かけていました。

そしてある日、

母親
「ねぇなんで?なんでなの?」

「…分からない…」

そして…


「もうマンションの上から飛び降りたい…」

この一言に、

わたしは涙が出てごめんね、ごめんね、分からないよね!と一緒に泣いて、それからはなぜ?は言わない!と決めました。

娘が学校でいじめられている事実を知った母親は、ある行動に出ます。

会社の上司にだけ相談し、2週間の休暇をもらいました。何も聞かず話さず…
とにかく一緒にいる時間をたくさん作り、いろんなところへ娘を連れ出しました。
そこから糸口が見えてきたと思います。
学校や相談所へ一緒に行くことができるようになりました。
長いトンネルはいつか抜けられると信じて、家族でがんばった日々でした。

その後娘はサポート校へ進学。いまは社会人生活を送っているといいます。

転校し環境を変える

環境を変えることで子どもをいじめから救ったケース。

息子がいじめられた経験を持つ30代の母親。

母親
「『足が痛い』とずっと言っているので病院に連れていったら、骨折だとわかった」

当時小学校1年生の長男が、ある日、階段から落ちて剥離骨折したことでいじめに気づいたといいます。

母親
「なんで階段から落ちちゃったの?」
息子
「みんなが追いかけてきてぶってくるから、逃げてたら落ちちゃったんだよね…」

母親
「『なんでうちの子が?』と、怒りよりも『なんで?』と。『入ってすぐの学校でなんでそんなことされてるの?』と悲しかった」

いじめのきっかけは、友だちが作ったドミノを長男が誤って倒してしまったことでした。

その翌日から学校で追いかけ回され、叩かれたり、蹴られたり、暴力をふるわれるように。

母親は学校に相談しましたが、いじめが止むことはありませんでした

母親
「『学校は好きだけど…あいつらがいるから怖いなぁ』と言ったとき、学校なんかより今はあなたの命が大事だよって」

そこである提案をしました。

母親
「わたしたちは、とにかくいじめをやめてほしかった。なくしてほしかった。学校に安心して安全に通わせてあげたかったので『転校したい』と言いました」

しかし、学校側と話し合いをもったところ、

校長
「事実確認がとれていません。息子さんにとってはとても負担になるので賛成はできません」

学校が勧めたのは様子を見ること。

学校教育法によると、市町村内であれば学区外でも転校することは可能

そのためには、教育委員会が転校理由を調査し、認められることが必要となります。

いじめが理由の場合、教育委員会は学校に聞き取り調査を行います。

そこでいじめを明確に確認できないと、転校は難しいのです。

しかし、親子の転校の決意は固まっていました。

母親
「息子に『自分の気持ちを書いて』とお願いして書いてもらいました」

ぼくはたくさんこわいおもいをしました。だれもあやまってくれなかった。だからちがうしょうがっこうにいきたい。

息子の思いをつづった手紙を教育委員会と学校に提出。

学校側も親子の気持ちを受け入れ、いじめ発覚から一か月後、学区外の小学校へ転校することができたのです。

須永さん
「ご本人がこの空間、この教室にいるのはつらい、一刻も早く別な空間に移りたいと望んでいるならば、転校させてあげたほうがいい状況に向かう可能性は高い。
周りの大人、親、学校が転校先の学校の状況をちゃんと把握したうえで移ることが重要」

転校という選択肢は、学校の理解と協力のうえで一緒に考えることが重要だといいます。

母親
「周りに何を言われても、子どもたちの歩幅に合わせてゆっくり生きていこうと思っています」

長男の様子を見ながら、1年生のあいだは自宅学習をして過ごし、2年生から徐々に学校に行き始めたそうです。

現役教師の体験談

一方、学校で子どもと向き合う先生たちは、保護者とは異なる向き合い方が必要になるといいます。

教員歴13年目。公立中学校に勤める現役教師が、いじめと向き合った体験談を話してくれました。

教師
「一番優先するのは子どもたちのことなので、見て見ぬふりは当然できない。それを分かっていても生徒指導の問題があるとすごく困る」

11年前に赴任していた学校で、殴る蹴るなどのいじめが問題になっていました。

いじめが起こったのは、別のベテラン教師が担任をしていたクラスでした。

ベテラン教師
「お前ら嫌なことをされたらどんな気持ちになるか分かるか!いじめは恥だと思え!」

ベテラン教師は、被害生徒を守ることを最優先にし、加害生徒を厳しく叱ることでいじめを止めさせようとしました。

すると、加害生徒たちは心を閉ざし、ベテラン教師の言うことを聞かなくなってしまったのです。

教師
「(自分に)担任が代わったときは、まず授業中に教室にいることからスタート。その次は授業中にちゃんと座っていること。学級が壊れちゃったんですね」

学級崩壊状態となったクラスを引き継ぐことになったのが、インタビューに答えてくれた先生でした。

どのようにいじめと向き合ったのでしょうか。

教師
「全体を見ているが、子どもたちの前では加害生徒について気持ちを聞いたりコミュニケーションをとった。いじめは何らかのストレスを抱えた子たちがやり場がないのでやる。(加害生徒を)肯定しつつやっていることは否定する。『君たちの言っていることは分かるよ、でもこれはダメだよね』と。本当に大変だった」

いじめ行為があればその場で止めに入り、加害生徒たちにも気持ちを聞く時間をもうけたのです。

いじめそのものをなくすためには、加害生徒に理解させることが必要です。そのためには、加害生徒の心を開かなくてはなりません。
根気よく教え続けるしかないといいます。

教師
「学校でできる部分はやって、学校でできない部分は家庭でやってもらうという連携がとれればいいと思う」

新学期が始まるこの時期だからこそ、大人ひとりひとりがいじめについて考えなければならないのです。

ちゃママ感想

どの母親も「まさかわが子がいじめられているとは思っていなかった」というのが共通しています。

どの家庭にも起こりうることということです。親の最初の対応、声かけは大切ですね。

では、子どもたちのどのような行動がSOSのサインなのか、今朝のおはよう日本でも取り上げられていましたので紹介します。

子どものカウンセリングをおこなう福岡大学医学部衞藤暢明医師

「朝起きられないことが続いたり、体の不調を言われる。頭痛・腹痛・胸が苦しいなど症状が出てきた場合、精神的な症状からきているか疑う必要がある」

そんなとき、周りの大人はどう接すれば良いのでしょうか。

「お子さんに対して心配を伝えたほうがいい。『あなたのことが心配です』と伝えること。一緒に考えましょうという姿勢を示すことは、子どもにとってはだいぶ楽になると思う」

また、大人が子どもの話を聞くときの注意点として、自分が経験してきた学校といまの学校は違うんだということを、あらかじめ理解しておくことが大切だということでした。

親が「なんで行かないの?どうして?」と子どもにきつく問い詰めているうちは、「学校に行ってくれないとわたしが困る」という親自身の気持ちが最優先になっている状態だと思いました。

あくまでも、子どもの気持ちを最優先にすることが、子どもの心を開き、一歩前へ進むきっかけになるのだと思います。

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わが子が被害者になるよりも、加害者になっているときのほうが気づきにくいといいます。

以前、ウワサの保護者会で放送された内容は興味深いものでした。

「わが子がいじめの加害者になったとき」
https://www.nhk.or.jp/hogosya-blog/100/266704.html

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